(1)事業譲渡
事業譲渡は取引行為なので、譲渡の対象となる事業における契約関係、権利義務、従業員等を売り手から買い手に移転させるための個別の手続が必要となります。
不動産の登記、動産の引渡、債権譲渡通知などの対抗要件は個別に備える必要がありますし、債務も債権者の承諾を得て個別に引き受け手続を踏む必要があります。
従業員との契約関係の引き継ぎにも個別の契約手続が必要です。
このように事業譲渡は、組織再編行為と違って包括承継ではないため、個別の承継手続が必要となります。この点の煩雑さはデメリットといえます。
もっとも、会社内での手続は簡易な面があります。
つまり、事業譲渡は、取引行為である以上、取締役が業務執行の1つとして行うことができる場合があります。この点はメリットといえます。
(2)株式譲渡
株式譲渡も取引行為なので、個別に株式を移転させる手続を踏むことになります。
手続については、取引対象である株式が重要な財産にあたる場合に取締役会の決議が必要になるほかは、特に会社法上の手続は必要ありません。
(3) 対価
事業譲渡や株式譲渡の場合、通常は買い手が売り手に対して現金を支払います。
債権や不動産など他の財産を対価とすることもできますが(これを現物出資という。)、裁判所が選任する検査役が対価となる財産の評価をするという手続が必要になる場合があります。


