ここで、信託のポイントを説明します。
●祖父は、信託により1億円の所有権を失います。
●1億円の所有権は、受託者に移ります。 つまり、1億円の所有権は、委託者である祖父から受託者である信託銀行などに移るのです。
●ただし、受託者は、信託契約に従って、1億円を管理・処分しなければなりません。また、受託者は、信託財産である1億円を、自分の財産と混同しないように分別して管理しなければなりません。たとえば、信託用の預金口座を作って管理するなどです。 したがって、受託者は、勝手に自分のために1億円を使ったりすることはできません。
●しかし、受託者を監督する人がいなければ、受託者は、契約に違反して勝手に財産を自分のために使ってしまうかもしれません。そこで、委託者は、仮に、受託者が信用できなければ、「信託監督人」を置いて、受託者が信託契約どおりに財産を管理・処分しているかどうかを監督させることができます。
●この契約により、祖父は、孫が成人するまで頑張って財産を管理・処分する必要がなくなります。この結果、祖父が突然死亡したりしたとしても、この契約が続く限りは、受託者である信託銀行などが、契約にしたがって、財産を管理・処分してくれます。
●祖父が将来借金取りに追われても、1億円は祖父の所有ではなくなっているので、守られます。
●受託者が借金取りに追われても、1億円は受託者の財産はとは別で管理・処分されるので、1億円は守られます。
このポイントからわかるように、信託を使うメリットというのは、「将来祖父の債権者が現れても、信託財産は守られる」という点と、「受託者の債権者が現れても、信託財産は守られる」という点です。これを信託の「倒産隔離機能」といいます。
倒産から隔離する機能ですから、当然事業再生にも有効に使えるわけです。


