事業譲渡は、このように組織再編のために用いられる手段の一つですが、合併や会社分割といった他の組織法上の行為と異なり、あくまで取引法上の行為であるため、事業譲渡によって、資産や負債が当然に譲受会社に引き継がれるわけではありません。
そのため、事業譲渡には、当事者が契約によって自由に、譲受会社が引き継ぐ資産や負債の内容を決定することができ、必要な事業のみを承継できるという当事者双方にとってのメリットがあります。
さらに、帳簿に記載のない簿外債務や保証債務・手形債務といった偶発債務の発生による不測の損害を防ぐことができるという譲受会社にとってのメリットもあります。
また、手続き上のメリットとしては、後述のように事業譲渡の際には会社法上株主の保護手続は必要ですが(会社法469条以下)、債権者保護手続は会社法上必要とされていないため、債権者が反対しようとも事業譲渡することができる点があげられます。
他方、デメリットとしては、最初にメリットとして挙げた事業譲渡によって資産や負債が当然には譲受会社に引き継がれないことの裏返しとして、資産や負債を引き継がせるためには、個別に手続を行わなければならず、例えば契約であれば相手方の同意が必要となるために手続が煩雑になるということがあげられます。
また、後述のように、行政上の許認可を引き継げないということや株主総会の特別決議が必要になるといったこともあげられます。


