(ア)まず、事業譲渡は重要な財産の処分を内容とすることが通常のため、事業譲渡を行うためには、取締役会設置会社においては取締役会の決議が必要です。
(イ)次に、事業の全部の譲渡及び事業の重要な一部を譲渡するためには、株主総会の特別決議(議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつ出席した当該株主の議決権の3分の2以上の多数をもってなされる決議)が必要となります。
なお、株主総会の決議が必要な「重要な一部」の譲渡の「重要」性の判断は、会社の全財産に対して譲渡財産の占める割合や、譲渡による会社への影響といったものを総合考慮して判断されることになります。
このように、重い決議要件が課されたのは、事業の譲渡が譲渡会社の存続を左右するものであり、後述のように競業避止義務によって譲渡会社が従前行っていた事業を行うことができなくなるため、会社に投資をし、会社の所有者である株主の重大な利害に関わるからです。
(ウ)もっとも、(1)当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が譲渡会社の総資産の5分の1を越えない場合には、譲渡会社に与える影響が少ないことから、(2)契約の相手方が譲渡会社の特別支配会社(ある株式会社の総株主の議決権の10分の9以上を他の会社が有している場合における当該他の会社等)である場合には、仮に株主総会を開催したとしても承認決議がなされることが明らかであることから、株主総会そのものが不要となります。


