事業が譲渡されると、譲渡会社は競業避止義務を負います。
この競業避止義務とは、事業が譲渡されると譲渡会社は、当事者の別段の合意がない限り、同一の市町村(東京都及び指定都市では区)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から20年間は、同一の事業を行うことができないというものです。
このような義務が定められた趣旨は、譲渡会社が事業を譲渡しておきながら、同種事業を再開し、譲渡した得意先と再び取引を始めるというような事態が生じると、譲受会社に予期せぬ損害を被らせることになり、事業譲渡の実効を失わせることにもなりかねないことから、そのような競業状態の発生を防ぐことにあります。
しかし、20年間も譲渡した事業と同一の事業を行ってはいけないとなると、例えば、金銭の画策のために一時的に事業を譲渡したけれど、会社が軌道に乗り金銭を工面できるようになったらまた同じ事業を展開するということができなくなってしまいます。
そこで、事業を譲渡するときに、20年という期間に躊躇を覚えるのであれば、相手方との話し合い次第では、期間を短くしたり、思い切って競業避止義務を負わないというようにもできます。
なぜなら、競業避止義務は、前述のようにあくまで当事者の別段の合意がない場合に20年という期間を定めるものですから、当事者の別段の合意がなされれば20年という期間には縛られないからです。
したがって、事業譲渡契約書を作成する際に、競業避止義務についてどのように定めれば会社の利益になるのかをよく検討する必要があります。


