会社分割は会社の財産状態が大きく変動し、株主に与える影響が大きいため、原則として、株主総会における特別決議が必要となることを説明しました。

これは、会社分割については、3分の2以上の賛成による議決が必要とすることで、株主の利益保護を図るものです。

もっとも、全ての株主の同意が必要なわけではないため、自分は反対したにもかかわらず、会社分割決議は可決されてしまったという事態が生じることがあります。

このような場合、会社分割に反対した株主は、会社に対しどのような行動を起こせるのでしょうか。

これを会社の側からみると、会社は反対株主に対し、どのような対応をとることが必要なのかの問題となります。

株主の株式買取請求権と会社の対応

株主総会決議前に会社分割に反対であることを会社に通知し、かつ、株主総会において会社分割に反対した株主には、投下資本回収の途を確保するため、会社に対して「公正な価格」により株式を買取るべき旨を請求する権利(株式買取請求権)が認められています。

反対株主は、会社分割の効力発生日の20日前から効力発生日の前日までの間に、株式買取請求権を行使しなければなりません。

そのため、会社は、会社分割が効力を生ずる日の20日前までに、株主に対し、会社分割する旨ならびに相手方となる会社の商号および住所を通知しなければなりません。

株主から、株式の買取請求がなされた場合、会社は「公正な価格」で株式を買取らなければなりません。

この「公正な価格」は、会社分割から生じるシナジー効果を反映した価格と考えられています。