債権者が定められた期間内に異議を述べなかったときは、その債権者は会社分割を承認したものとみなされます。
従って、異議を述べなかった債権者は、分割無効の訴えを提起することができなくなります。
債権者が定められた期間内に異議を述べたときは、会社は、その債権者に対し、弁済、若しくは、相当の担保を提供し、または、その債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を提供しなければなりません。
この点は重要ですので、必ず押さえておいて下さい。
〜会社分割の方法により事業承継を行ったとしても、承継会社が分割会社が使用していた名称を継続して使用していた場合には、承継会社は分割会社が負担していた債務を負わなければならないとされた事例〜
平成20年6月10日、最高裁は、会社分割によりゴルフ場の事業を承継した会社が従前のゴルフクラブの名称を引き続き使用していた場合に、会社法22条1項の類推適用により「承継会社は分割会社が負担していた預託金返還義務を負うものというべき」と判断しました。
会社分割により事業の承継を行う場合に承継会社にどの債務を引き継がせるのかは、分割計画書(分割契約書)により定めることができます。
よって、上記事例において、分割計画書(分割契約書)に承継会社が預託金返還債務を引き継ぐと記載されていなければ、原則として、承継会社が分割会社の負担している預託金返還債務を負担することはありません。
では、なぜ最高裁は、承継会社が預託金返還義務を負うと判断したのでしょうか。
実は、本事例のポイントは、承継会社が「従前のゴルフクラブの名称を引き続き使用していた」という点にあります。
会社法22条1項は「事業を譲り受けた会社が、譲渡会社の商号を継続して使用する場合は、譲受会社は譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済しなければならないこと」を定めています。
本事例では、承継会社が従前のゴルフクラブの名称を引き続き使用していたため、事業譲渡における商号続用者の責任を定めた会社法22条1項の類推適用を根拠に、承継会社の責任が肯定されることになったのです。
会社分割による事業譲渡において、分割計画書(分割契約書)により承継会社に引き継がれる債務を限定しても、商号を継続使用する場合には、会社法22条1項の類推適用により、承継会社が分割会社が負担する債務を負うことがありますので、注意が必要です。